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イントロダクション

このマニュアルは、wolfHSM組込みハードウェアセキュリティモジュールライブラリの技術ガイドとして作成されています。wolfHSMの構築方法と使用開始方法を説明し、構築オプション、機能、移植性の向上、サポートなどの概要を示します。

このドキュメントのPDF版は こちら で入手できます。

wolfHSMを選択する理由

車載HSM(Hardware Security Module)は、暗号鍵と処理のセキュリティを大幅に向上させます。これは、セキュリティの基盤である署名検証と暗号処理を物理的に独立したプロセッサに分離することで実現します。堅牢なセキュリティが求められるECUでは、推奨ではなく必須とされることがよくあります。よって、厳密なテストを行っている暗号化ライブラリwolfSSLを、Aurix Tricore TC3XX などの広く使用されている自動車用HSMでシームレスに動作するようにしました。wolfHSMが依存しているのはwolfCryptのみであり、ほぼすべての環境に移植できます。また、ユーザーフレンドリーなクライアント インターフェイスも提供しており、wolfCrypt APIを直接利用できます。

wolfHSMはECUのセキュリティとパフォーマンスを最大限に高めるべく、ハードウェア暗号化、不揮発性メモリ、各種隔離環境などと組み合わせて使用できるように設計しています。暗号エンジンwolfCryptをInfineon Aurix Tricore TC3XX などのハードウェアHSMに統合することで、SM2、SM3、SM4 などの中国政府義務アルゴリズムも利用できます。さらに、Kyber、LMS、XMSS などの耐量子暗号アルゴリズムを自動車ユーザーが簡単に利用できるようにし、顧客の要件に対応できるようにします。併せて、HSMでハードウェア暗号処理を利用できる場合は、これも利用してパフォーマンスを向上させます。

wolfBootは、ベアメタル環境のための安全かつポータブルなブートローダーソリューションです。最小限の設計と小さなHAL APIを活用した包括的なファームウェア認証および更新メカニズムを提供し、オペレーティングシステムやベアメタルアプリケーションから完全に独立しています。wolfBootは、フラッシュインターフェイスとプリブート環境を効率的に管理、アプリケーションを正確に測定および認証します。また、必要に応じてよりレイヤーの低いハードウェア暗号化も利用します。wolfBootはwolfHSM クライアントを使用し、HSM支援アプリケーションコアのセキュアブートを使用できます。さらに、wolfBootをHSMコア上で実行してHSMサーバーが損傷していないことを確認し、2次的な保護層を提供できます。この設定により、安全なブートシーケンスが保証されNVMサポートに依存するHSMコアのブートプロセスと適切に連携します。